海外特許制度の改正に関して、当事務所が独自に集めたニュースの抜粋情報です。
1.米国 特許権利期間の調整について調整期間の計算に誤りがある可能性と対応措置を公表
米国特許商標庁(USPTO)は、2024年9月27日、庁内で使用するソフトウェアの更新作業において特許権利期間の調整(Patent Term Adjustment: PTA)のためのソフトウェアにコーディングエラーがあり、そのソフトウェアを用いて自動計算された調整期間が誤っている可能性のあることを公表しました。USPTOは、コーディングエラーをすでに修正していますが、所定期間に発行された特許の調整期間について計算誤りが生じた可能性があるとしています。また、USPTO長官は、2024年9月25日付け通知により、対応措置を示しました。
2.米国 最後の拒絶後の考慮に関する試行プログラム(AFCP)2.0を廃止
米国特許商標庁(USPTO)は、2024年10月1日付け連邦官報に、最後の拒絶後の考慮に関する試行プログラム(After Final Consideration Pilot Program: AFCP)2.0を廃止することを公示しました。AFCP 2.0の試行期限は2024年9月30日まででした。USPTOは、経過措置として2024年12月14日まで試行期限を延長しますが、翌日(12月15日)以降のAFCP 2.0申請の受付は行いません。
3.米国 特許審判部における付与後特許の再審理手続に関する一部規則を改正
米国特許商標庁(USPTO)は、2024年9月18日から10月10日にかけて、特許審判部(Patent Trial and Appeal Board: PTAB)における付与後特許の再審理手続(AIAレビュー手続)に関する規則(37 CFR Part 42)のいくつかの改正を連邦官報に公示しました。
4.米国 OpenAI社が同社特許の取扱についての公約を公表
米国OpenAI社は、2024年10月11日、同社特許の取扱についての公約(Our approach to patents)をwebsiteにおいて公表しました。
5.中国 優先権の回復、および、追加または訂正に関する指針を公表
中国国家知識産権(CNIPA)は、2024年8月23日、優先権の回復、追加または訂正に関する指針を公表しました。2021年改正専利法に対応した専利法実施細則が2024年1月20日に施行されました。本指針は、同細則において発明専利出願および実用新案専利出願に対して新設された「優先権の回復および追加または訂正」の制度について、制度の背景、適⽤条件などを、事例を交えて説明しています。
6.台湾 専利審査基準の一部改訂を施行
台湾経済部知慧財産局(TIPO)は、2024年7月1日、専利審査基準第二編(実体審査)および第五編(無効審判)の一部改訂を公表し、同日付で施行しました。また、TIPOは、2024年9月4日、改訂専利審査基準の第二編(発明専利実体審査)第6章(補正)の部分の英語版を公表しました。
7.ベトナム 日本特許庁とのPPH試行プログラムの2024年度下半期の受付上限件数を通知
ベトナム国家知的財産庁(IP Viet Nam)は、2024年10月8日、日本特許庁(JPO)と間で行っている特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラムへの参加申請(PPH申請)について、2024年度下半期(2024年10月1日から2025年3月31日まで)の受付上限件数を通知しました。
8.ミャンマー 登録予定の工業意匠出願の公告を開始
ミャンマー知的財産庁(IPDM)は、2024年9月5日、登録予定の工業意匠出願に対する異議申立を目的とした公告のために、公報の発行を開始しました。公告日から60日の異議申立期間が設定されています。
9.ラオス 特許協力条約にもとづく国際出願の国内段階移行期限を変更
ラオス商工省知的財産局(DIP)は、特許協力条約にもとづく国際出願(PCT出願)についての指定官庁または選択官庁としての国内段階移行期限の変更を、世界知的所有権機構(WIPO)国際事務局に通知しました。
10.ブラジル 特許出願などの拒絶決定に対する審判の審理手続に関する規則を公示
ブラジル産業財産庁(INPI)は、2024年8月28日、審査段階(第一審)で拒絶された特許出願、実用新案出願、および、発明追加の証明の出願について、審判段階での技術審理手続に関する規則を公示しました。この規則は、審査段階での拒絶決定に対する審判について、審理および決定を行う際の標準化された手順や書式を示しています。
11.アルゼンチン 優先権を主張する第一国出願の特許付与に関する情報を求める決定を公示
アルゼンチン国家産業財産権庁(INPI)は、2024年8月28日付け特許公報(Bulletin No. 1386)に、第一国出願に対しパリ条約にもとづく優先権を主張してINPIに出願された係属中の特許出願について、当該第一国出願が特許付与されているか否かの陳述書の提出を求める決定(RESOL-2024-364-APN-INPI#MEC)を公示しました。
12.ウルグアイ 特許協力条約への加盟書を付託
ウルグアイ政府は、2024年10月7日、特許協力条約(PCT)への加盟書を、世界知的所有権機関(WIPO)事務局長に付託しました。
13.レバノン 全ての期限について延長することを公表
レバノン知的財産庁(IPO)は、期限日が2024年9月23日以降の全ての期限について、新たな通知が行われるまで延長することを公表しました。この公表について正式な通知は発行されていませんが、IPO長官によって口頭で確認されています。
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