海外特許制度の改正に関して、当事務所が独自に集めたニュースの抜粋情報です。
1.欧州 市販製品の組成を新規性/進歩性判断の「技術水準」と認定することに関する暫定見解を通知
欧州特許庁(EPO)拡大審判部は、2024年8月16日、市販製品(公衆に利用可能となっている製品)の組成や内部構造が新規性/進歩性判断の根拠となる「技術水準(先行技術)」になるのか否かに関する付託質問(G 1/23)について、EPO長官および本事案の当事者に対し、非拘束の暫定見解を通知しました。EPO長官および当事者は、この通知から2月以内に、暫定見解に対する意見を提出することができます。
2.英国 人工ニューラルネットワークは「コンピュータプログラムそれ自体」として特許不適格であると判決
英国控訴院は、2024年7月19日、人工ニューラルネットワーク(ANN)が「コンピュータプログラムそれ自体」として特許不適格となるか否かについて、英国知的財産庁(UKIPO)による特許不適格判断を却下した高等法院の判決を覆し、UKIPOの特許不適格判断を支持する判決を下しました。 UKIPOは、この判決を受け、2024年7月25日、ANNについて、特許不適格事由に関する審査実務を直ちに変更する旨を通知しました。
3.英国 知的財産(特許・意匠・商標など)の2023年統計データを公表
英国知的財産庁(UKIPO)は、2024年6月20日、知的財産(特許・意匠・商標など)に関する2023年統計データを公表しました。
4.ドイツ 2023年知的財産(特許・実用新案・意匠・商標)年次報告書(英語版)を発行
ドイツ特許商標庁(DPMA)は、2024年6月5日、知的財産(特許・実用新案・意匠・商標)に関する2023年年次報告書(英語版)を発行しました。 併せて、統計データの英語版も公表しました。
5.中国 専利(発明、意匠、実用新案)に関する庁手数料および減額政策の一部を明確化
中国国家知識産権局(CNIPA)は、2024年8月6日、専利(発明、意匠、実用新案)に関し、改正専利法(2021年6月1日施行)および暫定措置(2023年1月11日発効の暫定弁法:公告 第510号)において明らかにされていなかった庁手数料および減額政策の一部を明確にするための告示(公告 第594号)および当該告示の適用時期などに関する通知を発行しました。
6.中国 専利権(発明、意匠、実用新案)のオープンライセンス制度の全面的推進を通知
中国国家知識産権局(CNIPA)は、2024年7月15日および16日、専利法実施細則の施行により完全実施された専利権のオープンライセンス制度を推進するために、同制度の関連事項を解説する通知(国知発運字 〔2024〕 19号)と、同制度の実施中に生じる紛争を解決するための調停手続の内容を具体的定めた試行的調停措置の公告(国家知識産権局公告 第590号)を発行しました。
7.中国 国家知識産権局2023年度報告を発行
中国国家知識産権局(CNIPA)は、2024年9月3日、国家知識産権局2023年度報告(2023年1月から2023年12月まで)を発行しました。
8.韓国 2023年の知的財産年報(英語版)と統計年報を発行
韓国特許庁(KIPO)は、2024年8月1日、2023年の知的財産(特許・実用新案・デザイン・商標)年報(英語版)と統計年報(韓国語・英語併記)を発行しました。
9.台湾 初審実体審査で拒絶された後の再審査を加速する試行プログラムを開始
台湾経済部知慧財産局(TIPO)は、2024年8月29日、初審実体審査で拒絶された後に再審査が請求された場合について、再審査を加速する「発明専利再審査早期審査試行プログラム(AEPRe加速審査)」を開始することを公示しました。AEPRe加速審査は、2024年9月1日から開始されます。
10.インド 特許発明のインド国内での実施状況報告義務の履行手続を明確化
インド特許意匠商標総局(CGPDM)は、2024年8月26日、インド特許の特許権者またはそのライセンシーに義務付けているインド国内での特許発明の実施状況報告書(FORM 27)の提出について、特許規則改正によって生じた当該義務の履行上の疑義を解消するため、Q&A形式の説明書を公表しました。
11.シンガポール 特許出願の調査/審査報告書の請求期限を手数料なしで延長可能にする試行措置
シンガポール知的財産庁(IPOS)は、2024年8月19日、特許出願(PCT国内段階移行出願を含む)について、調査報告書および/または審査報告書の請求を行うことができる期限を、手数料なしで18月まで延長可能にする試行措置を通知しました。
12.オーストラリア 知的財産関連の庁手数料を改定
オーストラリア知的財産局(IPA)は、2024年9月2日、知的財産(特許・意匠・商標など)関連の庁手数料の改定を公示しました。改定手数料は、2024年10月1日から適用されます。
13.ブラジル 特許手続や様式に関する規則、および、特許審査基準などを改正
ブラジル産業財産庁(INPI)は、2024年9月3日付け知的財産公報(RPI No. 2800)に、特許出願の手続や様式などを改正する2つの省令(Ordinance No. 14、 No. 16)を公示しました。また、INPIは、2024年9月17日付け知的財産公報(RPI No. 2802)に、特許出願人や特許権所有権の移転および名称/商号や居所などの変更手続を改正する省令(Ordinance No. 20)を公示しました。Ordinance No. 14および No. 16は、2024年10月3日に発効します。また、Ordinance No. 20は、2024年10月17日に発効します。
14.リビア 商標庁が商標出願の受付を再開
リビア商標庁(LTMO)は、2024年9月2日からの商標出願の受付再開を通知しました。
15.5大知財庁 人工知能関連発明に係る各庁の審査実務に関する比較表を改訂
世界5大知財庁(IP5)は、2024年6月、五庁長官会合において、人工知能(AI)関連発明に係る各庁の法律・審査基準・審査事例などをまとめた比較表について、審査事例部分をより詳細に分類した比較表の改訂版を承認し、公表しました。なお、日本特許庁(JPO)が、比較表改訂版の日本語仮訳を公表しています。
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