海外特許制度の改正に関して、当事務所が独自に集めたニュースの抜粋情報です。
1.米国 自明性判断に関する改訂指針を公示
米国特許商標庁(USPTO)は、2024年2月27日付け連邦官報に、自明性判断に関する改訂指針を公示しました。改訂指針は、2007年のKSR事件最高裁判決で示された自明性判断に関する柔軟な取り扱いを再確認するものであり、同判決後の連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)の判例も反映しています。改訂指針は、法的効果や強制力を有さず、USPTOの現行実務や手続を変更するものではありませんが、USPTOの審査官や審判官に対する自明性判断の手引として、2024年2月27日に発効しました。
2.米国 'means-plus-function'や'step-plus-function'要件の審査指針となる覚書を発布
米国特許商標庁(USPTO)は、2024年3月18日、審査官に対し、請求項における'means-plus-function'や'step-plus-function'要件について、一貫性のある取り扱いを求める覚書を発布しました。この覚書は、現行審査実務を変更するものではありませんが、審査におけるそれらの要件の取り扱いについての指針を示すものであり、審査官向けトレーニング教材の出所なども記載されています。なお、2024年3月20日付け連邦官報に、本覚書に対する意見募集が公示されました。
3.米国 バイオおよび医薬品の特許出願の先行技術調査のための審査官向けトレーニング資料を公表
米国特許商標庁(USPTO)は、2024年3月20日、バイオおよび医薬品に係る特許出願の先行技術調査に食品医薬品局(FDA)および国立衛生研究所(NIH)のデータベースを利用するための審査官向けトレーニング資料を公表しました。
4.欧州 特許出願の移転登録またはライセンスの設定登録などの手続に関する規則改正
欧州特許庁(EPO)は、2024年2月29日付け公報に、欧州特許出願の譲渡などによる移転登録、および、欧州特許出願のライセンス許諾/譲渡の設定登録または登録抹消の手続に関する規則改正を通知しました。規則改正は、移転登録や設定登録/登録抹消の際に証拠として提出が必要な文書へのデジタル署名を認めること、登録や登録抹消を行う際に必要となる事務手数料を変更することなどを含みます。この規則改正は、2024年4月1日に発効します。
5.欧州 共同体意匠出願がPCT出願の優先権を主張する場合の優先権主張期間を明確にする判決
欧州連合司法裁判所(CJEU)大法廷審は、2024年2月27日、共同体意匠出願の優先権主張期間ついて、PCT出願を基礎出願とする場合の優先権主張期間は12月であるとした欧州連合一般裁判所(GCEU)の判決を破棄し、PCT出願を基礎とする優先権主張であっても優先権主張期間は6月であると判決しました。CJEU判決は、欧州連合知的財産庁(EUIPO)の実務を支持するものです。
6.中国 専利審査指南の改正点についての解説を公表
中国国家知識産権局(CNIPA)は、2024年1月18日、改正専利審査指南(2023)(2024年1月20日施行)の改正点についての解説を公表しました。また、日本貿易振興機構(JETRO)が、当該解説の日本語訳を公表しています。
7.インド 2024年改正特許規則が発効
インド商工省産業国内取引推進局(DPIITI)は、2024年3月15日、特許規則改正に関する通知を官報に公示しました。同改正は、特許の出願/審査/特許付与後手続の変更および維持年金などの手数料の変更など多くの変更を含みます。特許規則改正は、公示と同日に発効しました。
8.インド デリー高等裁判所控訴審がプロダクト・バイ・プロセスクレームの取り扱いを明確にする判決
インド デリー高等裁判所控訴審(Division Bench)は、2024年2月7日、特許性判断および侵害判断におけるプロダクト・バイ・プロセスクレームの取り扱いについて、インド特許意匠商標総局(CGPDTM)が特許出願の審査に用いる原則と同じであることを確認する判決を下しました。
9.リビア 2010年商標法の施行規則を施行
リビア経済貿易省は、2024年1月17日、2010年商標法の施行規則に関する事項を含む2024年決議(第26号)を施行しました。
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