海外特許制度の改正に関して、当事務所が独自に集めたニュースの抜粋情報です。
1.米国 DOCX形式で提出されない特許出願に対する追加手数料の徴収を開始
米国特許商標庁(USPTO)は、2024年1月17日、DOCX形式で提出されない特許出願に対する追加手数料の徴収を開始しました。DOCX形式で提出する場合の「補助PDF書類提出」オプションは継続されます。
2.米国 特許の実施可能要件違反に関する連邦最高裁判所判決を受けて審査指針を公表
米国特許商標庁(USPTO)は、2024年1月10日付け連邦官報に、特許実施可能要件(特許法112条(a))の審査指針を公示しました。米国連邦最高裁判所(最高裁)が、2023年5月に、抗体に係る発明を「機能的」に特定したクレームについて実施可能要件違反の判決を下しています。この審査指針は、USPTOとして最高裁判決をどのように実施するかを示したものであり、技術を問わず適用することが注記されています。
3.米国 特許訂正証の発行を電子発行に切り替え
米国特許商標庁(USPTO)は、2023年12月19日、特許訂正証の発行を電子発行に切り替えることを通知しました。特許訂正証の電子発行は、2024年1月30日からになります。
4.欧州 特許審判手続の促進のために審判手続規則を改正
欧州特許庁(EPO)は、2023年12月22日付け公報(Official Journal)に、審判手続規則の改正を公示しました。この規則改正は、2024年1月1日に発効し、同日以降に係属する審判手続に適用されます。
5.英国 最高裁判所が「人工知能は特許法における発明者にならない」との判断を支持
英国最高裁判所(最高裁)は、2023年12月20日、「人工知能(AI)は、英国特許法(Patent Act 1977)の目的のもとで発明者とみなすことはできない」とした英国知的財産庁(UKIPO)/高等法院/控訴裁判所の判断を支持する判決を下しました。
6.イタリア 国際意匠出願に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定を批准
イタリア政府は、2023年12月14日、国際意匠出願に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定の批准書を世界知的所有権機構(WIPO)に付託しました。イタリアについて、ジュネーブ改正協定の発効は2024年3月14日となります。
7.中国 改正専利法(2021年施行)に対応した実施細則および審査指南の改正を施行
中国国家知識産権局(CNIPA)は、2023年12月21日、改正専利法(2021年施行)に対応した専利法実施細則および専利審査指南の改正を公布しました。改正実施細則および審査指南は、2024年1月20日に施行されました。また、CNIPAは、改正実施細則の施行に伴う審査事務の取り扱いに関する経過措置および経過措置の解釈なども併せて通知しました。
8.中国 人工知能関連発明の審査実務に関する日本との比較研究結果を公表
中国国家知識産権局(CNIPA)は、2023年11月30日、人工知能(AI)関連発明の審査実務に関し、日本特許庁(JPO)と共同で行った中国と日本の比較研究結果報告書(AI関連発明比較研究報告書)を公表しました。同じ報告書が、JPOからも公表されています。
9.韓国 優先審査の申請対象を制限するなどの知的財産法全般の施行令一部改正が発効
韓国特許庁(KIPO)は、2023年12月19日、優先審査に関して緊急に処理する必要が低くなった事象を対象から外すことなどを行うため、知的財産法全般(特許法、実用新案法、デザイン保護法、商標法)の施行令の一部改正を公布しました。改正後の各施行令は、2024年1月1日に発効しました。
10.ブラジル 特許出願の審査順や年金支払に関する実務を変更
ブラジル産業財産庁(INPI)は、2023年12月19日付け産業財産官報に、特許出願の審査順の変更、および、年金支払手続の変更を公示しました。これらの変更は、2024年1月1日から施行されました。
11.タイ 日本特許庁との特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラムを延長
タイ知的財産局(DIP)は、日本特許庁(JPO)との間で行っている特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラムを、2024年1月1日から2025年12月31日までの2年間延長しました。
12.インドネシア 日本特許庁との特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラムを延長
インドネシア知的財産総局(DGIP)は、日本特許庁(JPO)との間で行っている特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラムを、2024年1月1日から2026年12月31日までの3年間延長しました。
13.ジョージア 欧州特許条約に関する認証協定が発効
ジョージアは、2024年1月15日、欧州特許条約に関して2019年10月に調印済であった認証協定(validation agreement)を発効させました。これに伴い、欧州特許庁(EPO)は、2023年12月22日付け公報(Official Journal)に、ジョージアについての欧州特許有効化手続および手数料を公示しました。
14.アラブ首長国連邦 特許手数料を改定
アラブ首長国連邦経済省は、2023年11月15日付け官報に、特許・実用新案・意匠に係る手数料を改定する省令(No. 112 of 2023)を公布しました。この改定は、2024年1月15日に発効しました。
15.ユーラシア特許庁 特許および意匠関係の手数料を改定
ユーラシア特許庁(EAPO)は、2023年12月12日、特許および意匠に関する手数料の改定を公示しました。改定手数料は、2024年1月1日から適用されました。
※ニュース記事は一般的な情報等の提供を目的とするものであり、弊所の法的助言又は公式見解を示すものではありません。この資料を利用して企業活動方針等を決定され営業上の損害が発生したとしても、弊事務所として責任を負い兼ねますことをご了承いただきたくお願いいたします。
閲覧やダウンロードに関する問題やご意見等がございましたら、弊所( gaikoku-g@s-sogo.jp )にemailでご連絡いただきますようお願いいたします。