海外特許制度の改正に関して、当事務所が独自に集めたニュースの抜粋情報です。
1.米国 DOCX形式でない特許出願に対する追加手数料の徴収開始をさらに延期
米国特許商標庁(USPTO)は、2023年6月6日付け連邦官報に、DOCX形式でない特許出願に対する追加手数料(非DOCX出願手数料:400ドル)の徴収開始を、2024年1月17日に延期することを公示しました。
2.米国 気候変動緩和試行プログラムを適用範囲の拡大とともに延長
米国特許商標庁(USPTO)は、2023年6月1日付け連邦官報に、気候変動緩和に係る特許出願について、ファーストオフィスアクション発行までの審査順を繰り上げる「気候変動緩和試行プログラム(Climate Change Mitigation Pilot Program)」を、2027年6月7日まで延長することを公示しました。USPTOは、延長に際し、適用範囲の拡大、および、期間中の申請受理件数の上限増(4,000件まで)を行いました。
3.米国 特許権利期間の調整のために必要な情報開示陳述書の添付書類に関する特許規則を改正
米国特許商標庁(USPTO)は、2023年6月15日付け連邦官報に、特許権利期間の調整期間の短縮を免れるために必要な情報開示陳述書の添付書類に関し、USPTOの定型書式の使用を求める特許規則改正を公示しました。この規則改正は、2023年7月17日以降に情報開示陳述書(Information Disclosure Statement: IDS)とともに提出される添付書類に対して適用されます。
4.欧州 統一特許裁判所協定施行後の状況
欧州統一特許裁判所(UPC)は、2023年6月9日、欧州統一特許裁判所協定(UPCA)の締約国が参加する管理委員会を開催し、技術系判事(Technically Qualified Judge; TQJ)の候補者リストを満場一致で採択したことを公表しました。同会合において、イタリア/フランス/ドイツから、英国の脱退により空白となったUPC中央部ロンドン支部につき、イタリア ミラノに設置するという3国間の協議結果が報告されました。
5.欧州 特許単一効申請および単一効登録に関するデータの公表を開始
欧州特許庁(EPO)は、2023年6月12日、欧州単一効特許制度(UP制度)の運用開始に伴い、特許検索システム(Patent Register)において、単一効申請および単一効登録をした欧州特許に関するデータの公表を開始したと発表しました。
6.中国 国家知識産権局2022年度報告を公表
中国国家知識産権局(CNIPA)は、2023年6月5日、国家知識産権局2022年度報告(2022年1月から2022年12月まで)を公表しました。
7.中国 第5世代通信システム(5G)標準必須特許と標準提案に関する研究報告書を公表
中国信息通信研究院(CAICT)は、2023年4月、グローバル5G標準必須特許および標準提案に関する研究報告書(2023年)を公表しました。
8.韓国 デザイン保護法の一部改正法を公布
韓国政府は、2023年6月20日、関連デザイン出願制度、新規性喪失の例外規定、優先権主張などに関するデザイン保護法の一部改正法を公布しました。本改正は、2023年12月21日に施行されます。
9.台湾 商標法の一部改正法を公布
台湾行政院は、2023年5月24日、総統令として商標法の一部改正法を公布しました。改正法では、特に、早期審査制度が導入され、出願人が直ちに権利取得をする必要性がある場合、別途手数料を支払うことで早期査定を受けることができるようになります。改正法の施行日は、後日行政院から通知されます。
10.ブラジル 統一型特許審査ハイウェイ試行プログラムにおいて国際特許出願にもとづく申請受付を停止
ブラジル産業財産庁(INPI)は、2023年6月13日、統一型特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラムにおいて、国際特許出願の審査結果を利用したPPH試行プログラム(PCT-PPH)への参加申請の受付を停止したと発表しました。
11.インド 特許庁が「プログラムそれ自体(per se)」により特許不適格とした判断を覆す判決
インド デリー高等裁判所(単独裁判官公判)は、2023年5月15日、「ネットワークロケーション中のサブロケーションについてのユーザの認証方法およびシステム」に係る特許出願について、インド特許庁(IPD)が「プログラムそれ自体(per se)」に該当して特許不適格と判断したことを誤りとする判決を下しました。IPDは、判決後、当該特許出願に対して特許付与の決定をしました。
12.WIPO 核酸またはアミノ酸配列表についての国際標準ST.26を改定
世界知的所有権機関(WIPO)は、特許出願において提出される核酸またはアミノ酸配列表についての国際標準(ST.26)を改定し、2023年7月1日から施行します。各国所管官庁は、ST.26改定を自国の特許出願に反映させるために規則等の改正を行っています。
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