海外特許制度の改正に関して、当事務所が独自に集めたニュースの抜粋情報です。
1.米国 がんムーンショット早期審査試行プログラムの立ち上げを公示
米国特許商標庁(USPTO)は、2022年12月9日付け連邦官報に、がんの予防および死亡率低下のための技術に係る特許出願を対象にした早期審査試行プログラム(Cancer Moonshot Expedited Examination Pilot Program)を立ち上げることを公示しました。この試行プログラムへの参加申請の受付は、2023年2月1日から開始され、2025年1月31日、または、受理件数が1,000件に達した日の早い方までとなります。
2.欧州 統一特許裁判所協定の発効予定日を延期・欧州特許庁による過渡的措置の開始日は変更なし
欧州統一特許裁判所(UPC)管理委員会は、2022年12月5日、UPC協定発効予定日(UPC業務開始予定日)を2月遅らせることを発表しました。新たに設定された発効予定日は、2023年6月1日です。一方、欧州特許庁(EPO)は、UPC協定発効予定日の延期に拘わらず、欧州単一効特許(UP)に関する過渡的措置の開始日を2023年1月1日のままとすることを発表しました。
3.イタリア 商標登録の無効・取消の行政手続を開始
イタリア特許商標庁(UIBM)は、2022年11月29日付け官報に、UIBMに対する登録商標の無効・取消の行政手続に関する規則改正(DECRETO 19 luglio 2022, n. 180)を公示しました。規則改正は公示の30日後に発効し、UIBMによる無効・取消申請の受付が2022年12月29日から開始されます。従来、登録商標の無効および取消手続は裁判所における訴訟手続が必要でしたが、行政手続でも行えるようになることから、より迅速で安価に手続を行うことが可能となります。
4.台湾 専利および商標の電子登録証発行を選択可能に
台湾経済部知慧財産局(TIPO)は、2022年11月16日、専利(特許、実用新案、意匠)および商標の登録証について、紙媒体登録証に代えて電子登録証の発行も選択できるようにする旨を発表しました。電子登録証の発行申請のためのTIPOシステムのインタフェースが、2023年1月1日から利用可能になります。
5.オーストラリア 人工知能マシンは発明者になり得ないとした控訴審判決に対する上告許可申請を却下
オーストラリア連邦最高裁判所(High Court)は、2022年11月14日付け口頭尋問議事録を公表し、人工知能(AI)マシンは発明者になり得ないとした控訴審判決を不服とする上告許可(special leave to appeal)の申請を却下したことを公示しました。最高裁判所が上告許可申請を却下したことにより、AIマシンが発明者になり得ないとする判断が確定しました。
6.ベリーズ マドリッド協定議定書に加盟
ベリーズは、2022年11月24日、マドリッド協定議定書の加盟書を寄託しました。ベリーズについて、マドリッド協定議定書は2023年2月24日に発効します。
7.WIPO 2022年版世界知的財産指標を公表
世界知的所有権機構(WIPO)は、2022年11月21日、2021年における全世界の知的財産動向の分析結果を示した2022年版世界知的財産指標(World Intellectual Property Indicators – 2022)を公表しました。
8.国際出願 手数料改定
日本特許庁(JPO)は、2022年12月1日、国際出願手数料の改定を公表しました。改定手数料は、2023年1月1日以降に納付する手数料に適用されます。
(文責 外国特許制度グループ)
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