海外特許制度の改正に関して、当事務所が独自に集めたニュースの抜粋情報です。
1.米国 特許出願において予言的実施例と実際の実施例とを区別して記載すべきことを告知
米国特許商標庁(USPTO)は、2021年7月1日付けの連邦官報で、出願において、予測的な実験結果を説明する予言的実施例または紙上での実施例(prophetic examples, paper examples)と、実際の実験結果を報告する実際の実施例(working examples)とを明確に区別して記載することにつき、出願人の注意を促す告知をしました。
2.米国 連邦最高裁判所が譲渡人禁反言の適用に制限があることを判示
米国連邦裁判所(最高裁)は、2021年6月29日、MINERVA SURGICAL, INC. v. HOLOGIC, INC.の判決において、譲渡人禁反言の法理を追認したものの、「譲渡人による特許無効主張と、譲渡人が特許を譲渡する際に明示的または黙示的にした表明との間で矛盾が生じる場合」に限り適用されることを判示しました。
3.米国 特許商標庁が連邦最高裁判所のArthrex判決に対応した特許審判部暫定手続を公表
米国特許商標庁(USPTO)は、2021年6月29日、特許審判部(PTAB)の行政特許判事(APJ)の決定権限に関する連邦最高裁判所判決(Arthrex判決)に対応し、USPTO長官が当事者間レビュー手続、付与後レビュー手続、ビジネスモデル特許(CBM)レビュー手続における行政特許判事の決定の再審理を可能にする、暫定手続の実施を公表しました。
4.米国 査定系特許審判の早期審理パイロットプログラムの期限を延長
米国特許商標庁(USPTO)は、2021年7月2日、特許審判部(PTAB)が査定系特許審判の早期審理のためのパイロットプログラム(Fast-Track Appeals Pilot Program)の終了期限を延長することを公表しました。延長されたパイロットプログラムは、さらに1年間継続され、新たな終了期限は2022年7月2日となります。
5.欧州 ダブルパテントを理由とする特許出願の拒絶に関する拡大審判部審決(G 4/19)
欧州特許庁(EPO)拡大審判部は、2021年6月22日、ダブルパテントを理由とする特許出願の拒絶に関し、欧州特許条約(EPC)における条文上の根拠とその適用を明確にする審決(G 4/19)を出しました。
6.欧州 口頭審理をすべてZoomへ
欧州特許庁(EPO)は、2021年10月1日以降、受理課、法規部及び審査部での口頭審理はすべてZoomのみで行うこととする旨を2021年6月23日に公表しました。さらに、既に予定されている口頭審理を含め2021年10月1日をもってSkype for Businessを使用しないことを決定しました。
7.ドイツ 統一特許裁判所協定に対する仮差止申請を却下
ドイツ連邦憲法裁判所(BVerfG)は、2021年7月9日、統一特許裁判所協定(UPCA)の批准に対する2通の仮差止申請を却下したことを公表しました。ドイツの批准プロセスの停止は、統一特許裁判所(UPC)及び欧州特許制度の設立にとって障害となっていました。欧州特許庁(EPO)やUPC準備委員会は、この決定によりUPCAのドイツによる批准への道が開かれ、UPCの運用開始に向けて新たな一歩が踏み出されたとしています。
8.台湾 商標登録出願「ファストトラック審査」の正式施行
台湾経済部知慧財産局(TIPO)は、試験的に導入した商標登録出願のファストトラック審査を、2021年5月1日より正式施行しました。
9.ミャンマー ソフトオープニング期間の商標出願受付を継続
ミャンマー知的財産庁(知財庁)は、2019年1月30日に成立した商標法に基づくソフトオープニング期間の商標出願の受付けを継続しています。
(文責 外国特許制度グループ)
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