海外特許制度の改正に関して、当事務所が独自に集めたニュースの抜粋情報です。
1.中国 最高人民法院が懲罰的損害賠償適用について解釈と典型的判決例を公表
中国最高人民法院は、2021年3月3日、「知的財産権侵害の民事訴訟の審理における懲罰的損害賠償の適用に関する解釈(「解釈」という)」を公表し、懲罰的損害賠償の適用範囲、「故意」や「深刻な状況」の認定、懲罰的賠償額算定の基礎になる額(基数)や倍数の決定についての具体的な基準を示しました。また、最高人民法院は、2021年3月15日、懲罰的損害賠償を適用した過去の典型的判決例(営業秘密侵害、商標権侵害)を公表しました。
2.ブラジル 連邦最高裁が医薬・健康用途分野の特許の存続期間延長を停止する仮処分裁決
ブラジル連邦最高裁判所(STF)は、2021年4月7日、医薬製品及び製法、並びに、健康用途に用いられる機器及び材料に関する特許・実用新案に限り、産業財産法第40条補項(特許・実用新案付与後の最低存続期間を規定)の適用を停止する仮処分を裁決しました。この仮処分を受け、ブラジル産業財産庁(INPI)は、2021年4月13日付け公報で、当該仮処分に従って第40条補項の適用停止を通知しました。
3.インドネシア 特許付与後の強制実施権設定についての規則改正
インドネシア法務人権省は、2021年2月3日に公布された省令で、特許権者がインドネシア国内で特許付与された発明の実施を行わない場合の強制実施権の設定に関する規則を改正しました。この規則改正により、特許権者によるインドネシア国内での実施について、2020年11月に発効した雇用創出オムニバス法による「実施」の態様の追加(ライセンス供与/輸入も実施に含む)が正式に運用されることになります。規則改正は即日施行されました。
4.モロッコ 日本との特許審査ハイウェイ試行プログラムを開始
日本国特許庁(JPO)とモロッコ工商業所有権庁(OMPIC)は、2021年4月1日より特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラムを開始しました。本プログラムは3年間実施し、2024年3月31日に終了する予定です。JPOがPPHを締結したアフリカ地域の国は、エジプト特許庁(EGPO)に次いでOMPIC は2庁目となります。
(文責 外国特許制度グループ)
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