海外特許制度の改正に関して、当事務所が独自に集めたニュースの抜粋情報です。
1.欧州 2020年の欧州特許出願動向を公表
欧州特許庁(EPO)は、2021年3月16日、2020年の欧州特許出願動向(直接出願と国際出願の欧州移行とを含む)を公表しました。出願総数は、コロナ禍にもかかわらず、最高を記録した2019年(181,532件)から0.7%減に留まる180,250件でした。
2.欧州 拡大審判部がコンピュータシミュレーションに係る発明の特許性判断方法を明確化
欧州特許庁(EPO)拡大審判部は、2021年3月10日付け審決(G 1/19)において、コンピュータシミュレーションに係る発明に対し、「コンピュータにより実施された発明」の特許性判断について過去審決が確立した基準や方法を適用することを明らかにしました。特に、「コンピュータにより実施された発明」の進歩性判断方法として確立されたCOMVIKアプローチが、コンピュータシミュレーションの発明の進歩性判断にも適用されることを明確にしました。
3.欧州 特許出願時に発明者の居所として記載する事項を変更
欧州特許庁(EPO)は、2021年2月付け官報において、欧州特許条約(EPC)規則19条及び143条の改正に伴い、欧州特許出願時の発明者住所の記載事項を変更する旨を通知しました。
4.中国 2020年知的財産権統計データを公表
中国国家知識産権局(CNIPA)は2021年1月22日、全国知識産権局の局長会議において、中国における2020年の知的財産年間統計データを公表しました。CNIPAは、中国の国家知的財産戦略綱要及び「十三次五か年」計画で確定した主要目標・任務を円満に完成させたと報告しています。
5.台湾 2020年専利商標出願概況を公表
台湾経済部知慧財産局(TIPO)は、2021年3月10日、2020年の専利商標出願概況を公表しました。2020年の専利(特許・実用新案・意匠)出願全体では、前年比3%減の72,238件となりました。このうち、特許出願は同3%減の46,664件、意匠出願は同9%減の8,019件となり、実用新案出願は17,555件で横ばいとなりました。商標については、1999年のTIPO設立以来最多となる94,089件が出願されました。
6.韓国 商標法・デザイン保護法における権利侵害時の損害賠償算定規定を改正
韓国において、商標権・デザイン権の侵害に対し、侵害者が権利者の生産能力を超える量を販売した場合にも、合理的な実施料相当額の賠償を受けられるようにした一部改正商標法及びデザイン保護法が、2021年6月23日に施行されます。
7.カナダ 応答期間延長に関する通知を公示
カナダ知的財産庁(CIPO)は、2021年1月8日、CIPO長官が認めた場合の応答期間延長について、請求手続を明確化する通知を公示しました。
8.ベトナム 2020年の特許・意匠・商標の出願及び処理統計を公表
ベトナム国家知的財産庁(NOIP)は、2021年2月2日、2020年の特許(実用新案特許を含む)・意匠登録・商標登録の出願件数および処理状況を公表しました。
9.パキスタン マドリッド協定議定書に加盟
パキスタンが2021年2月24日付でマドリッド協定議定書に加盟しました。パキスタンについて、マドリッド協定議定書は2021年5月24日に発効します。
10.ソマリア 商標出願の受付を再開
代理人からの情報によれば、ソマリア知的財産庁(SIPO)が、正式に商標出願の受付を再開しました。
11.WIPO 2020年国際出願動向を公表
世界知的所有権機関(WIPO)は、2021年3月2日、PCT国際特許出願が、世界的なコロナ禍にもかかわらず2020年に伸長し続けていることを公表しました。併せて、2020年の国際商標出願(マドリッド制度)と国際意匠出願(ハーグ制度)の出願動向も公表しました。WIPOは、過去10年間のWIPOのグローバルIPサービス(特にPCT)の利用の伸びは、世界のGDPの伸びを上回っているとしています。
(文責 外国特許制度グループ)
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