海外特許制度の改正に関して、当事務所が独自に集めたニュースの抜粋情報です。
1.米国 特許付与後再審理の請求に対する審理開始決定についての特許規則を改正
米国特許商標庁(USPTO)は、2020年12月9日付の連邦官報に、「特許付与後再審理(当事者系レビュー(IPR)、付与後レビュー(PGR))の請求に対する審理開始は、請求対象である全てのクレームと全ての無効理由を対象とする」ことなどの特許規則改正を公示しました。改正規則は、2021年1月8日以降に提出された特許付与後再審理請求に適用されます。
2.欧州 欧州特許審査ガイドラインとPCT-EPOガイドラインの2021年改訂版を発効
欧州特許庁(EPO)は、2021年1月の庁公報において、欧州特許審査ガイドライン、及びPCT-EPOガイドライン(PCT国際調査機関としてのEPOにおける調査及び審査のためのガイドライン)の2021年改訂版を、2021年3月1日から発効させることを告知しました。2021年改訂版は、2019年版に置き換わるもので、修正履歴付きの暫定版がEPOのwebサイトに掲載されています。
3.欧州 発明者宛出願情報通知を廃止
欧州特許庁(EPO)は、2021年1月の庁公報に、管理理事会による欧州特許条約(EPC)施行規則の一部改正についての決定(2020年12月15日付)を掲載しました。改正は、出願に関する情報を発明者宛に通知する手続の廃止を含む、施行規則19条及び143条の変更です。
4.欧州 口頭審理 原則ビデオ会議へ
欧州特許庁(EPO)は新型コロナウイルスのパンデミックに鑑み、2020年4月より適宜口頭審理に関するいくつかの手続を見直しています。特にビデオ会議技術を利用した口頭審理の運用が改定され、現在口頭審理は原則ビデオ会議での実施としています。
5.韓国 技術分野別の特許審査実務ガイドラインを公表
韓国特許庁(KIPO)は、2021年1月18日付で、技術分野の特性を考慮した審査基準として、「技術分野別審査実務ガイドライン」を公表しました。ガイドラインは、「第1部 ⼈⼯知能分野」、「第2部 IoTサービス分野」、「第3部 バイオ分野」、「第4部 植物分野」、「第5部 医薬分野」、「第6部 その他(旧技術分野別審査基準)」の6部構成になっており、分野ごとに記載要件と特許要件の審査基準や留意点が事例を交えて説明されています。
6.韓国 商標審査基準を改正
韓国特許庁(KIPO)は、非典型商標(立体的形状、色彩、音、におい、など)についての審査強化や保護範囲の拡大、コンピュータソフトウェアの商標についての出願要件の強化を含む商標審査基準の改正を行い、2021年1月1日に施行しました。
7.韓国 2020年の特許・商標・デザインの出願総数が過去最高を記録
韓国特許庁(KIPO)は2021年1月14日、2020年の韓国での特許(実用新案を含む)、商標及びデザイン(意匠)の出願総数が、前年比9.1%増の55万7229件と過去最高を記録したと公表しました。
8.台湾 2020年第4四半期の特許・実用新案・意匠・商標の出願動向を公表
台湾経済部知慧財産局(TIPO)は、2020年第4四半期の特許・実用新案・意匠・商標の出願動向を公表しました。前年同期比で、特許出願4%減、実用新案出願2%減、意匠出願8%減、商標出願9%増と、商標出願のみ増加しました。台湾外からは全ての出願で減少しました。
9.台湾 「特許審査ガイドラインパートⅡ:発明特許の実体審査」英語版を公表
台湾経済部知慧財産局(TIPO)は、2020年12月28日、「特許審査ガイドラインパートⅡ:発明特許の実体審査」の英語版を公表しました。TIPOは、台湾の特許審査手続に対する国際知的財産社会の理解を深め、外国人出願人に提供されるサービス向上の一助となるとしています。
10.ベトナム 署名者の法的地位を厳格化
ベトナム国家知的財産庁(NOIP)は、2020年11月23日、通知第13822/TB-SHTT号を発行しました。これは工業所有権の登録及び関連手続における、出願人を代表する署名者に関する規則に係るものです。
11.GCC 新規特許出願の受理を停止
湾岸協力会議特許庁(GCCPO)は、2021年1月6日、新規特許出願の受理を停止したことを公示しました。これは2021年1月5日に開催された第41回首脳会談での「GCC特許規則一部条項改正法」を承認する決定に基づくものです。
なお、本件につきましては、当事務所の作成に係る資料であって、公的見解を示すものではありません。ご了承いただきますようお願いいたします。この資料を利用して企業活動方針等を決定した場合、営業上の損害が発生した場合まで責任を負い兼ねます。
※鈴榮特許綜合ニュース海外情報へのお問い合わせは、問い合わせフォームからお願いします。なお、フリーメールアドレスからのお問い合わせには対応し兼ねます。ご了承ください。
(文責 外国特許制度グループ)