海外特許制度の改正に関して、当事務所が独自に集めたニュースの抜粋情報です。
1.米国 特許付与後手続における補正申立についての規則を改正
米国特許商標庁(USPTO)は、2020年12月21日付の連邦官報に、当事者系レビュー(inter partes review)、付与後レビュー(post-grant review)及びビジネス方法レビュー(covered business method review)の手続(総称して「特許付与後手続」という)における補正申立に関し、説得責任(burden of persuasion)の分配を明確にする規則改正を公示しました。改正された規則は、特許付与後手続において2021年1月20日以降に提出される全ての補正申立に適用されます。
2.米国 特許付与後手続におけるクレームの不明瞭性判断方法を明確化
米国特許商標庁(USPTO)長官は、2021年1月6日付メモランダムで、特許審判部(PTAB)に対し、特許付与後手続(当事者系レビュー、付与後レビュー、ビジネス方法レビュー)におけるクレームの不明瞭性判断方法を連邦裁判所による判断方法と一致させる旨を指示しました。
3.米国 国際商標登録を米国に拡張するための改定手数料の適用開始日を変更
米国特許商標庁(USPTO)は、2020年12月15日付の連邦官報で、2021年1月2日から適用される商標関係の改定手数料のうち、マドリッドプロトコルに基づく国際出願の米国指定に関する個別手数料に限り、適用開始日を2021年2月18日に変更する旨を告示しました。
4.米国 連邦商標法(ランハム法)の改正を含む包括歳出法 2021が成立
連邦商標法(ランハム法)の改正を含む包括歳出法(Consolidated Appropriations Act, 2021)が、連邦議会(上院・下院)で可決され、大統領の署名を経て、2020年12月27日に成立しました。連邦商標法の改正は、包括歳出法の「DIVISION Q TITLE II Subtitle B - Trademark」に規定されます。
5.米国 意匠特許の適格性に求められる「製造物品要件」の解釈について意見募集を開始
米国特許商標庁(USPTO)は、2020年12月21日付の連邦官報に、プロジェクション、ホログラフイメージ、仮想/拡張現実などの物理的な製品やコンピュータ表示画面を必要としない意匠(デジタル意匠と称する)の保護に関し、米国特許法における意匠特許適格性に関する製造物品(article of manufacture)要件の解釈についての意見を募集することを公示しました。意見募集期間は、米国時間2021年2月4日までです。
6.ドイツ 連邦参議院が欧州統一特許裁判所協定の批准法案を可決
ドイツ連邦参議院は、2020年12月18日に、欧州統一特許裁判所(UPC)協定の批准法案を、3分の2を超える賛成多数で可決しました。これはドイツ連邦議会が2020年11月26日に3分の2超の賛成多数で同法案を可決したことに続くものです。この結果、連邦議会と連邦参議院ともに、ドイツ連邦憲法裁判所(憲法裁判所)の判決によって必要とされた評決数を満たして批准法案を可決したことになります。
7.フランス 日本と特許審査ハイウェイ試行プログラムを開始
日本国特許庁(JPO)とフランス産業財産庁(INPI)は、特許審査ハイウェイ試行プログラム(PPH)を2021年1月1日より開始しました。フランスとPPHを開始するのはJPOが全世界で初めてとなります。本プログラムは2022年12月31日に終了しますが、JPOとINPIによる共同レビュー及び実施評価後に延長される可能性があります。
8.中国 化学分野の発明専利出願に関する専利審査指南を改正
中国国家知識産権局(CNIPA)は、2020年12月14日に、化学分野の発明専利出願の審査について、専利審査指南(特許審査基準)の改正を公示しました。この改正は、2021年1月15日から施行されます。
9.ブラジル コンピュータプログラムによって実装される発明の審査ガイドラインを改訂
ブラジル産業財産庁(INPI)は、2020年12月29日付官報に、コンピュータプログラムによって実装される発明の審査ガイドラインの改訂を公示しました。この改訂は、2021年1月1日から施行されています。
10.ブラジル 特許審査ハイウェイ試行プログラム第二段階を開始
ブラジル産業財産庁(INPI)は、2020年12月29日付官報に、日本を含む参加国との間で実施している特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラムの第二段階を開始することを公示しました。第二段階は2021年1月1日より開始され、参加国からブラジルへのPPH申請総数の上限が緩和されるとともに、一出願人あたり週1件の申請が可能となりました。
11.WIPO 英国によるマドリッドプロトコル批准のジブラルタル及びガーンジーへの拡張
世界知的所有権機関(WIPO)は、2020年12月16日付の通知で、英国がマドリッドプロトコルの批准をジブラルタル及びガーンジーに拡張する旨を宣言したことにより、2021年1月1日から両国も国際商標登録の保護対象になることを公表しました。
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(文責 外国特許制度グループ)