海外特許制度の改正に関して、当事務所が独自に集めたニュースの抜粋情報です。
1.米国 特許権利期間の調整に関する一部規則を改正
米国特許商標庁(USPTO)は、2020年6月16日付けの連邦官報(Federal Register)で、特許権利期間の調整に関する一部規則を改正することを通知しました。
2.米国 連邦最高裁、商標"Booking.com"の連邦商標登録が可能であると判示
米連邦最高裁判所(連邦最高裁)は、2020年6月30日付けのUNITED STATES PATENT AND TRADEMARK OFFICE 対 BOOKING.COM B.V.の判決で、<一般名称>と<トップドメイン名称>とを組み合わせた商標またはサービスマーク(本事例では、"Booking.com")について、消費者がその組み合わせを一般名称と認識しないのであれば、一般名称ではなく、連邦商標登録の適格性があると判示しました。
3.米国 査定系特許審判の早期審理を行うパイロットプログラムを開始
米国特許商標庁(USPTO)は、2020年7月1日のプレスリリースで、査定系(ex parte)特許審判の早期審理のためのパイロットプログラム(Fast-Track Appeals Pilot Program)を立ち上げ、2020年7月2日から早期審理申請の受付を開始すると発表しました。また、2020年7月2日付けの連邦官報(Federal Register)で、このパイロットプログラムの内容が明らかにされました。特許審判部(PTAB)は、早期審理の開始から6か月以内の審決を目標としています。
4.欧州 2回目の規則71(3)通知を受ける権利を放棄するオプションを廃止
欧州特許庁(EPO)は、2020年5月26日付けで、特許付与の決定前の通知に対して出願人が行った補正や訂正に同意する場合に出される「更なる規則71(3)通知」について、出願人が当該通知を受けなくてもよいとすることができるオプションを、2020年7月1日から廃止することを通知しました。
5.欧州 2019年次レビューを公表
欧州特許庁(EPO)は、2020年6月30日付けで、2019年次レビュー(Annual Review 2019)を公表しました。2019年次レビューは、従前の年次レビューの形式を変更し、2019年6月に立ち上げた戦略計画(Strategic Plan 2023)の5つの目標の各々について、主たる成果やEPOが実施した施策の概要を報告しています。
6.中国 既存の民事関連法を統合する「中華人民共和国民法典」を採択
中国の第13回全国人民代表大会(全人代)は、2020年5月28日に、既存の民事関連法(民法総則、民法通則、物権法、合同(契約)法、侵権(権利侵害)責任法など)を統合した中華人民共和国民法典(民法典)を採択しました。同法典は、2021年1月1日に施行されます。
7.WIPO 新型コロナウィルスパンデミックに対応するツールを公表
世界知的所有権機関(WIPO)は2020年5月5日付にて、WIPO加盟各国が新型コロナウィルス(COVID-19)パンデミックに対して実施している知的財産(IP)政策の変更やその他の措置を一覧できるツール(COVID-19 IP Policy Tracker)を立ち上げたと公表しました。
8.英国 最高裁、出願時実施可能でなかった態様を含む請求項を開示要件違反で無効判断
英最高裁判所は、2020年6月24日付の判決で、遺伝子組み換え技術によってつくられたトランスジェニックマウスに関する英国移行された欧州特許について、「請求項の範囲に含まれる全ての形態のマウスの作成を可能にするだけの開示がない」とし、「十分な開示」要件違反による無効の判断をしました。
9.ドイツ 統一特許裁判所協定を批准するための新たな法律草案を公表
ドイツ連邦司法・消費者保護省(BMJV)は、2020年6月10日付けの立法手続きの報告において、統一特許裁判所(UPC)協定を批准するための新たな法律草案を公表しました。
10.オーストラリア イノベーション特許制度の段階的廃止を含む特許規則の改正を公示
IPオーストラリア(IPA)は、2020年4月20日付けで、2020年の知的財産関連法の改正に伴う特許規則の改正が、連邦官報(Federal Register)に公示されたことを公表しました。特許規則の改正は、イノベーション特許制度の段階的廃止に関する規則改正を含みます。
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(文責 外国特許制度グループ)