■会議一般
AIPPI(国際知的所有権保護協会)会議が9月14日から9月17日までカナダのトロントで開催されました。参加者総数は約1300人で、日本からは約100名が参加しました。参加人数は開催時期、場所等により増減するにせよ、3000人程度の参加者がかつては一般的であったことから見ると非常に少ない参加人数でした。アメリカからは120人、ドイツから70人の参加で、特にアメリカはカナダと隣接しているにも関わらず極めて少なかったと言えます。
一方、中国からは約100名の参加者があり、数年前まではほとんど数える程度だったのからして急増し、中国の存在感はあらゆる点で膨張しています。
■同業者とのロビー談義
参加者が少ない中でも各国の主な取引事務所とは面談を行い、IP関係の現況、特許事務所を取り巻くビジネス環境の変化(国際条約により出願数の減少、事務所間の競争の激化)等について話し合いました。日本のIP話題としては職務発明(発明者への報酬)の改正動向、ハーグ条約への加盟等について、EUからの話題としてはUnitary Patent System (単一特許制度)とUnified Patent Court (統一特許裁判所)の設立動向、中国に関しては、特別の資格なくして誰でもが代理可能となった商標代理に関し事務所の信頼性をどう見るか等に関して情報収集を行ってきました。なお、中国の実情を良く知る香港の代理人から得た情報によると中国では特許事務所の設立には10人の弁理士が必要ですが、足りない場合は他の弁理士(資格を有しているもの会社勤務者や弁理士業を行っていないような者)の名前を借りて届け出ているところもあるとのことです(香港代理人からの情報)。
■特許事務所のビジネス環境
会議中は正式なセミナー、講演等が多岐にわたり行われていましたが、難しい法的IP問題はさておき、いわゆるロビー談義としては、特許事務所を取り巻く環境の変化、国際条約による各国への出願件数の激減、激化する特許事務所間の競争等の環境の中で如何にしてより多くの信頼を勝ち得るかが共通の話題でした。
(AIPPI出席者 小出記)